温度管理について
物質は温度の上昇により伸び、その伸び率を熱膨張率と言います。
熱膨張率は1mあたり1℃の温度上昇でXμm伸びる率で、物質によりその率は表のように異なります。
当社ではミクロンオーダーの微細加工を行っているので、材料、測定器具に表のような伸びがあった場合、最終検査で寸法交差範囲(最大許容範囲と最小許容範囲)に収まらないことがあります。そのため当社では製造、検査、出荷をなるべく温度変化の無い環境で行えるよう、微細加工を行う製造現場、最終検査を行う検査室の温度を一定に保ち、材料、測定器具の熱膨張による影響を少なくするよう対策をしています。
当社では、検査は製造途中の簡易確認を製造現場で、製造終了後の最終検査を検査室でそれぞれ行っています。製造現場では主にデジタルノギス、マイクロメーターなどを用いて、キーとなる部分の簡易確認を製造工程の途中で行い、検査結果が交差範囲内であれば次工程に進めます。検査結果が交差範囲外であった場合、修正が可能であれば修正し、修正が不可の場合再度作り直します。製造途中で簡易確認を行うことで、次工程に不適合品が流出しないようにしています。
製造工程が終了した製品は、検査室で再度簡易確認を行い、検査結果が交差範囲内であることを確認します。その後、3次元測定器、デジタルノギス、マイクロメーターなどを用いて、図面に示された部分について検査を行い、交差範囲内であることを確認します。この検査結果が交差範囲内であれば、検査室内の保管場所に梱包まで保管します。交差範囲外であった場合、修正が可能であれば修正し、修正が不可の場合には担当者で集まって問題点の洗い出しを行い、再度製造します。
材料種類 | 材料名 | 熱膨張率(μm/℃) |
---|---|---|
金属 | 金 | 14.2 |
金属 | アルミニウム | 23 |
金属 | 鉄(炭素鋼) | 10.8 |
金属 | 鉄(ステンレス鋼SUS410) | 10.4 |
金属 | 鉄(ステンレス鋼SUS304) | 17.3 |
金属 | 銅 | 16.6 |
金属 | アルミニウム | 23 |
金属 | タングステン | 4.3 |
合金 | 黄銅 | 18~23 |
合金 | 鋳鉄 | 10~12 |
合金 | 超硬合金 | 5~6 |
プラスチック | PC樹脂 | 70~80 |
プラスチック | ABS樹脂 | 80~110 |
プラスチック | POM樹脂 | 100 |
プラスチック | PPホモポリマー | 170 |
プラスチック | PE樹脂 | 130~150 |
プラスチック | ナイロン | 80 |
プラスチック | PET樹脂 | 70~80 |
セラミック・その他 | Al2O3 | 8~9 |
セラミック・その他 | ZrO2 | 8.7~11 |
セラミック・その他 | ダイヤモンド | 1.1 |
セラミック・その他 | ガラス | 9 |
セラミック・その他 | コンクリート | 7~13 |
セラミック・その他 | パイレックスガラス | 3.2 |